再出発にあたって最初にしたのが農園名(会社にしたら社名)を付けることでした。
区切りをつけることにもなり意気込みや今後の挑戦にスタートを切れるように!と。
aofuji アオフジです。
由来は
ao……ハワイ語で『夜明け』『光』『雲』『地球』『世界』『叡智』など…
fuji……名字から引用
です。壮大ですね。
病気からの再出発ということで『夜明け』『光』が気に入りました。
ちなみにこの発想・・・・妻です・・・。
私はもっと違うことを考えていて、正直行き詰っていました。どれもパッとしない…というか、ありきたりなネーミングばっかりだったところ、妻の意見に『これだ!』と。
私の住んでいる京都市の地域には同じ苗字の家が多いのです。
ですので『(苗字)+農園』で≪○○農園≫とすると、どこの○○さん?となるので個性に欠けます。
他にも≪(屋号)+農園≫の農家さんも多い。ただ私の屋号は自分自身いまいち好きになれず、自分で気に入った名前を付けたかった。
会社にしてみれば≪社名≫です。
私は『長く愛される』、『長く愛せる』名前にしたかった、というのと『明るい名前にしたい』という妻の意見がうれしく、これに決めました。これが経緯です。
今回は少し農業の現実の一部を書こうと思います。
お金の話①
入院前は、がむしゃらに働き、出荷すればするほど儲かると単純計算の仕事ぶりでした。
『農業』の印象の一つに『売れば売るだけ収入になる』というのがあります。
それはたしかにそうです。
市場出荷の場合『1つあたりいくら』と競りで決まります。それに✖(かける)ことの『個数』です。単純にそれだけです。たくさん出せば出すほど収入が得られます。
可能な限り収穫できた(収穫できる状態のものをその日に収穫しきれた)分に関しては、当日出荷しきるのが常識です。その日の分はその日に出さないと鮮度が落ちますので翌日回しは基本的にはしません。できません。(出荷する作物によって基準が違うかもしれません…と保険かけときます…。全野菜のシステムを知っているわけでは無いし一部しか知りませんので…)
まあ野菜、果実は鮮度が命ですからね。競り時にシナっていたらいくらも付かないでしょう。
時には、どうしようもなく『出来が良くないもの』しか出せるものがなく、ひどい金額がついたこともあります。おそらく想像よりもひどい金額ですよ。出さない方が良かったのでは?と思ってしまうぐらい。つらい現実…。
毎日収穫
その日にできている分を取り切ったら、その畑には翌日の分が無くなる、という現象があります。
それは作物の成長スピードによります。
『つぼみを摘むもの』、『実をとるもの』、とかに関する作物に当たります。
あと、引き抜いて帯で『束』にしたり『袋詰め』したりする葉物野菜(ホウレンソウなど)のようなものは、抜けば無くなります(当たり前ですが…)。ですのでコンスタントに順番に次々大きくなるように『植え付け』、成長させるテクニックが必要です。環境、天候、肥料、薬…等の兼ね合いが大事になってきます。これが難しい!。ベテランの農家さんでも読み切れるものではないのです。
私のしている『ナス』なんかは、成長スピードの速い作物です。規定サイズになったものを順番に収穫していきます。翌日には、次に大きくなったものを収穫します。逆に一日収穫できない(収穫しない)日があれば、規定サイズ以上に、大きくなりすぎる危険があります。そうなると出荷できません。
『収穫するものがある』ということは、とてもありがたいことですが………
ナス全盛期には休みがありません…。
単価について
『日によって違う』
同じ作物でも日によって違います。
他の農家さんの状況によっても違うし、世間の状況によっても違います。
自分のところで多くとれた、ということは他の農園でも多く収穫できている事が多いから(捌くためか)単価が低い…ということが主。
単純に全体量が少ない場合、単価は高値。
話が長くなりますのでかるく流しますが
単価に変化がある内容を考察するのであれば
●多量出荷+安定出荷+品質がいい+市場からの信用=高値
●主要な作物を自分ところだけたくさん出荷した=高値
●希少な品目+市場で必要とされている作物=高値
季節もの、イベント事、などの催事などのタイミングにも影響があると思われます。
まあ自論ですが(ほとんどが農業修業時代にお世話になった農家さんの受け売りです)。
あとテレビで≪健康にいい≫とか、≪やせる≫とかで紹介された野菜が翌日高騰したり品薄になったりします。
(※こういった値段の変動に関しては私の憶測にすぎず実際の値付けに本当に影響しているかはわかりません。)
ただ実際直接市場に出荷しに行って同じ野菜が集められている所で開封されている野菜を見てみると『他の』と『自分の』の品質の違いがわかるのですが、見ため的に
私の(野菜)方がキレイだ!( ̄ー ̄)ニヤリ
と思っていても他の人の方が高値がついていて
…ナゼ…
となることも少なからずあります。
まあ、一丸に言えない内容の事も内々であるのだろう。
考えすぎても仕方がないので自分のできることは『丁寧に』『きれいに』『誠実に』を心掛け『信用』を得ることだけだと思います。
私が一番気にしてるのは
『自分が(消費者の立場になって)自分の野菜を買えるか』
を最低基準にしています。
こつこつ作業をするのみです。
毎日決まった仕事が準備されており、決まった金額を稼ぐこと、毎月安定した金額を稼ぐこと、…雇われて仕事をしていた時には考えられない感覚でした。想像はできていても現実は思っていた以上に奇妙な感覚ですよ。
考え方を一から作り替えないといけません。
ちなみに、付け加えておきますが、
悪いことばかりではありません。
たまたま出来が良く、たくさん収穫でき、根性出してオラーって数を出せたときに、思いがけず高値が付くこともあります。
その嬉しさは半端ないです。(一種の賭け事要素もあったりします)
お金に関すること、今回はこのへんで。
そして
ハウスの完成!
再出発の働き方改革 第一弾の『ハウス』完成!
ハウス持ちの農家になったのは本当にうれしいことです!できることが飛躍的に増えます。天候、気候の調整ができるのは大きい。
これを使って何をするかは、またの機会に!
今回はこのへんで。